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私はその男を、しっかり見てやると。
笑っている。
けど、目が笑っていない。
でも、何だろう…。
嫌いになれない。
顔がいいから、自信が有るのね。
だから、きっと性格が悪いんだ。
この人、初対面なのにキツイ。
私は、すぐさま言ってやった。
「じゃあ、もし今後、私達がうるさかったら、絶対に言いに来て下さいね?私も、結構騒音だとか、気にしちゃう性格だから…」
私は素直に伝えると、
「妻が妊娠中で、今は実家に居ましてねぇ…」
って、えぇっ…?!
ウソッ…。
結婚してるの?!
こんなに、カッコいいのに?!
「………」
その言葉に私は、本気でショックを感じた。
やだな、予測付かなかった言葉にうろたえて、言葉が見つからない。
何だ…結婚してるんだ…。
そっか…一人で住んでるんじゃないんだ…。
「こちらこそ、妻と子どもが戻って来たら、騒がしくなると思いますので、その折りには、ご迷惑をお掛けするかも知れませんのでね。まぁ、お互い様って事で大目にみて頂けたら、さいわいです」
「…はい…」
また、この人の口から、妻と子と出た。
ズキッ…ズキッ…
凄く胸がまた、痛くなった。
傷付いてる痛み。
鋭いナイフが、心を切り裂く痛みが走った。
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