2 初対面

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202号室の住人は、実は単身者の若い女性が一人で住んでいるのだが。 これまた独身なもんだから、男女構わず、どんな時間帯でも、人数構わず連れ込むのなんの。 よくもまぁ、今までこの住人に対して苦情を誰も言わなかったもんだと、少々呆れていた。 非常識。 と、言われる部類の女だった。 「私も実は202号室の方に、不躾ながら、こないだ苦情を言ってやったんですよ」 「えっ、本当に?」 「新しい住人への嫌がらせですかねぇ、部屋の中を小窓からコッソリ覗かれたんです」 きっと、いつも喧嘩ばかりしてるから、不仲な二人がどんな人間なのか興味が湧いたんだと思うの。 それにしても、あの時は本当に腹が立った。 「苦情って言うよりも、注意ですけどね。人の家の中見て、何してる?!って思いっきり。聞こえませんでした?私の怒鳴り声」 「いいえ。しかし、それは酷いなぁ。普通の人間のやる事じゃないですよ」 って、いつの間にか意気投合。 「確かに、あそこの住人の程度の低さは、僕らが入居した時からなんですよ。もう出入りする男の車も、コロコロ代わってて。違法な路駐なんて、毎晩当たり前でしたし。まぁ、若い女性だから、何も考えてないバカなんで、大目に見てましたけど」 そうだったんだぁ。
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