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春先の陽気な日。
結婚生活を送るために、この都心に近いベッドタウンと呼ばれる街へと引っ越して来た。
アパートは最寄りの駅から近い場所を選んだので、築数は若干古め。
最初は二人なんだから、平気。
2LDKとなれば、やはり住人は家族連れが多い。
これから、家族が増える夫婦も、それはきっと有りなのだろう。
騒がしいのが苦手だから、少し不安も有るけど、彼との新生活。
なるべく穏やかに過ごして行きたい。
親元から離れて、自分たちだけで生活のやりくりをしていくんだから。
些細な事で、喧嘩にならないように楽しくしていかなきゃね。
期待を持って引っ越して来たはいいが。
なんとなく、彼氏の行動パターンに、私は疑問を抱き始めていた。
それはと言うと。
引っ越してきたのに、彼氏がなかなか市役所に提出する書類の手続きを、してくれない。
どうも仕事に行き詰まっていて、ちょうどバタバタと忙しい様子なのだ。
まぁ、しばらくは同棲生活もヨシとしよう。
助けられる所が合ったら、助けてあげたい。
しかし歩み寄ったら、それはそれで彼氏にも、自分で事を成すプライドみたいなものが有るらしくて。
拒否されるから、私は最初はうるさく言わなかった。
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