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彼氏が休みの日。
彼は、珍しく朝から機嫌が良くて、
「なぁ、ちょっと駅前に気になる喫茶店を発見してさぁ、今から行ってみない?」
「えっ?朝から?!」
私にしばらく触れもしてこなかった彼が肩に優しく触れる。
一瞬ビクッとした。
だって、この人。
平気で怒ると手を上げるんだもの。
「どうやら、モーニングが好評らしいんだ」
「そうなんだぁ♪」
なのに私は、嫌な事も忘れてないうちから、この人に笑顔を向けてしまう。
「久しぶりだなぁ、モーニング」
「そうだね」
まだ、実家暮らしをしていた時には、よく早朝から彼とは会っていて。
朝はモーニングして、デートして、深夜遅くまで一緒にいた。
その時に彼が言った。
《早く一緒に住みたいね》
私にはその一言を、とても重く感じて。
プロポーズだと勘違いしてしまったのかも知れない。
今思えば、ただ。
彼は、ただの思い付きだったのかも知れない。
散歩がてら、手を繋いで駅前の喫茶店へと到着。
「えっと、モーニング2つ下さい」
この人、凄くニコニコしてる。
自分の機嫌が良い時だけ、人に優しく出来るだなんて…。
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