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「仕事は順調なの?」
私が切り出すと、
「まぁまぁかな。引っ越しで、おろそかにしていた分は、もうとっくに片付いたけど。やっぱり一人だからね?頼れるのは俺自身でしかないから、周りのデスクの奴らだけさ、余裕な顔して仕事してんのは」
自分だけが、頑張ってるとでも言いたいのか?
助けてくれる人が、あんたには居ないだけでしょ?
そんな上目線な、モノの言い方するから一人で仕事させられんのよ。
「そっか、そっか。一生懸命、頑張ってんだぁ。偉いね。事務職って、そんなに大変なお仕事なんだね」
そう。
結局コイツは。
《凄い大変だね、一生懸命、頑張ってるね》
そう言って貰いたいだけなんだ。
「いやいや、俺は昔からそうやって、たくさんの書類の処理を任せられてきてるから、対した事はないよ」
余裕な顔して言ってるけど。
私たち二人の生活に、大切な書類は後回しにしてる癖に、よく言うわコイツ。
思わず顔が引き釣ってしまう。
ダメダメ、そうやって自分から苛立ちを煽らないようにしなきゃ。
永田さんが言ってくれた言葉を思い出さなきゃ。
《時の幅を、広げて》×2
深呼吸、深呼吸…。
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