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私はさっそく永田さんの話をした。
「ねぇ、そう言えばこの前、下の階の旦那さんとバッタリ鉢合わせしちゃって。最初は嫌な感じしたんだけど、途中からアパートの建物の話で、意気投合しちゃって。最後は凄く丁寧なご挨拶してくれたの」
あぁ、思い出すと凄く胸が熱くなる。
あんなに楽しく会話したの、久しぶりだもの。
ましてや、今まで知らなかった人。
なのに、急に親近感湧いちゃって。
新鮮な時間だったなぁ。
だから、その話をする時の私はこんなに笑顔で言葉が弾む。
「色々と、この周辺の事も親切に教えてくれてね、優しくて感じの良い人だったんだよぉ」
「何だそりゃ、感じ良いのか悪いのか、結局どっちなんだよ。でも、僕は初対面でチラッと出くわした時、ちょっと変わった人だなぁと思ったけどな」
あんたのが、数倍変わってるって。
ってか、最悪だと思うけど。
「まぁ、少し毒舌的で用心深そうな感じもしたけど」
「僕が仕事帰りの時に、ちょうどアパートの階段下でタバコ吸ってたみたいで、僕を見るなり挨拶もしないで、部屋の中に入って行ったんだよ?僕はちょっと正直、感じの悪い男だと思ってしまったんだけどね」
「それは、たまたまでしょ?」
「いいや、こっちをチラッと見たから気が付いていたはずだよ」
「そっかぁ」
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