6 独身は自由

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彼氏が隣りで寝てる姿を見て、本当は安心しなくてはいけないはずなのに。 最近凄く、ヘドが出る程、その白々しい態度にイライラして眠れないでいた。 だからと言って、昼間も気温が暑くなってきたとは言えども。 やっぱりアイツの嘘話を思い出すと、イライラして落ち着かないもんだから、昼寝も出来ない。 もぉ、頭おかしくなりそう。 暇人みたいに言われて、悔しい。 こんな知らない土地で、友人も親しい人も居ないのに。 誰か…助けて…。 誰か…助けてよ…。 どうやったら、気持ちを切り替えられるの? すると、下から物音がした。 カタカタカタ…。 静かに窓の戸が開く音。 私は耳を澄ます。 咳払い…。 あっ、もしかして、永田さんかなぁ。 また、ここに帰って来たんだ。 …良かったぁ…嬉しい…。 って、何故か私がこんなにも安心していた。 心が乱れていたから、彼の出す物音に、やっと芯が一本通った気がした。 涙が頬をつたって、身体が優しい気持ちで包まれる。 あの時の20分足らずの、永田さんとの時間は、私にとったら本当に大切な時間だったと、ひしひしと感じた。 話もろくに出来ない、私の彼。 よその家の中の話なのに、あんなに最後まで私の話を聞いてくれる、下の階の旦那様。 全然、違う…。 全然、違い過ぎるわ…。
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