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「誰か助けてくれる人は居ないの?」
「居ないよ。僕だけが直接、社長に抜擢されて、責任者として任せられた業務だからね」
責任者として。
なのに、助けてくれる人も居ないだなんて。
おかしな話でしょ。
残業の仕方や、都合のいい休日出勤。
きっと彼は、俗に言う《窓際》と呼ばれる一人で仕事をする扱いなのだと、私は察していた。
だけど、プライドの大きい彼氏は、いつも私にはこう言う。
「僕は凄い大役を任せられて、上司から期待された人間なんだ」って。
遠回しにね。
聞いてる方は、その無理無理感の話に、痛々しさを感じてしまうんだけど。
私は一応、頑張ってる彼氏に笑顔を向けていた。
今まではね。
でも、やっぱり自分自身の将来が関わってくると現実的な話を、とことんしないと納得いかなくて。
結局、今回。
それ以上私が突っ込んだ話をすると、彼は怒ってしまって、最後は口喧嘩で終わってしまった。
それでもめげずに、
「書類なんて、要求すれば郵送で手元に届くんだよ?!簡単な事じゃない?!」
私が強く問い掛けると、
「うるっせぇな!あっち行ってろ!疲れてんだから、そんな事で話掛けてくんじゃねぇよ!!」
彼の化けの皮が、剥がれ始めてきていた。
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