6 独身は自由

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アイツの嘘話と、アイツの鬼のような怒った顔と、そして暴力…。 悪魔の皮を被った善人面した男との結婚は、取り止めた方がいいのかなぁ…。 でも、取り止めたら…。 ここを離れる事になったら、せっかく仲良くなれた永田さんの側には居られなくなる。 だけど、あと数日したら実家に戻ってる奥さんと赤ちゃんが帰って来る。 申し訳ないけど…。 私は、永田さんが好きだ。 きっと、仲良い声を聞いたら私は嫉妬する。 嫉妬して、それこそ今以上に頭がおかしくなってしまうかも知れない。 …って、そんな自分を今から想像して、また落ち着かなくなってる。 どうしよう…。 優しくしたくて、あんな言葉を掛けてくれた訳でもない永田さんを…本気で好きになってる。 自分の心がいつもより、弱いだけで。 全く見ず知らずの永田さんに、こんな寂しい私をもっと見つめてと、すがってしまっている…。 涙がまた込み上げる。 永田さんに… 抱き締めて貰えたら… きっともう少し、気持ちが収まるのに… こんなに近い場所に居る人なのに。 こんなに遠い人。 他の誰かのモノだなんて…。 …悔しい…。
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