6 独身は自由

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私は照れながら、話し掛けた。 「あはは…ついに市役所から通知きちゃいましたよ」 「えっ?」 何言ってんだろ私は。 永田さんは、私の急な問い掛けに困惑気味。 なのに、私は話を聞いて貰いたくて。 少しでも、永田さんの側に居たくて、また話し掛ける。 「ほら、住民票の手続き、実はまだ済ませてないもんだから…」 私は封書を握り締め俯いた。 「あぁ、そう言えば」 私の手元を永田さんは一瞬見る。 「相変わらずこんなだから、喧嘩ばかり。本当にうるさくて、ご迷惑でしょ?いつも申し訳ありません」 怒鳴り合い。 それから、激しい物音。 騒音が気になる。 だなんて、よくも私は自分の口から言えたものだ。 うちが一番、うるさい。 「…いえ、そんな事はねぇ。やっぱり他人同士が一つの場所に居るんだから。色々有りますよ。そんな事はお互い様ですって」 本当はそんなふうに微塵も思っていないのに、さらっと私を安心させるために、偽りのないような言い方をしてくれている。 同じ嘘でも、こっちの方がよっぽど思いやりのある嘘だよ。 だから、ほら。 優しさに、久しぶりに触れて…。 ダメだ、私…。 泣いちゃいそうだよ。 「結局、私は一人暮らしおろか、許可無く、この街に住んでるみたいで…虚しいし、日々後ろめたい心境でいっぱい…」
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