250人が本棚に入れています
本棚に追加
ドキッ…
「本当に?」
気安く恋人のように聞いてみると、
「えぇ、本当に」
ドキッ…
永田さんは、タバコを消して。
「じゃあ、僕そろそろ会社、戻りますね」
もう行っちゃうんだ…。
寂しい…。
「はい。行ってらっしゃい」
大好きな、永田さん。
永田さんは玄関の鍵を締めて、また会社のシルバーの軽自動車に乗り込んだ。
私はここから、車が出て行くのを見送った。
運転席の窓から、チラッとこっちを見て会釈されて、私は手を振った。
何だろう…本当に。
あの人に打ち明けると、どうしてこうもスッキリしちゃうのだろう。
うまい具合に、また悩みが浄化されちゃった。
たわいもない、少しの会話なのに。
あの人、独自の雰囲気かな…。
声かな…。
表情かな…。
凛とした佇まいに、本当の意味での包容力を知る。
また、話したいなぁ。
あれだけの時間じゃ足りないよ。
って、求める私は図々しいかなぁ。
はぁ~、ドキドキした。
最初のコメントを投稿しよう!