6 独身は自由

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ドキッ… 「本当に?」 気安く恋人のように聞いてみると、 「えぇ、本当に」 ドキッ… 永田さんは、タバコを消して。 「じゃあ、僕そろそろ会社、戻りますね」 もう行っちゃうんだ…。 寂しい…。 「はい。行ってらっしゃい」 大好きな、永田さん。 永田さんは玄関の鍵を締めて、また会社のシルバーの軽自動車に乗り込んだ。 私はここから、車が出て行くのを見送った。 運転席の窓から、チラッとこっちを見て会釈されて、私は手を振った。 何だろう…本当に。 あの人に打ち明けると、どうしてこうもスッキリしちゃうのだろう。 うまい具合に、また悩みが浄化されちゃった。 たわいもない、少しの会話なのに。 あの人、独自の雰囲気かな…。 声かな…。 表情かな…。 凛とした佇まいに、本当の意味での包容力を知る。 また、話したいなぁ。 あれだけの時間じゃ足りないよ。 って、求める私は図々しいかなぁ。 はぁ~、ドキドキした。
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