2 初対面

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新しいアパートは6軒続きの集合住宅。 恋人同士で同棲中。 そう簡単に言えたらいいけど。 結婚する目的で、このアパートを借りたのだ。 そこは私も変なプライドがあって。 軽い言葉で、片付けたくない。 そう思い、自然と自分の中で、重くしていた。 こんな中途半端な状態のままだから、挨拶まわりも、出来やしない。 それどころか、いつも喧嘩ばかりしている、変な住人だと思われていたりして…。 実際は、近所迷惑だと思われてはいないかと。 気まずくて。 ご近所さんに今更、どう顔を合わせたらいいんだろう。 私はもう、日が経つにつれてそう思い、身動きが取れなくなってしまっていた。 だから、最近になって。 私はなるべく、誰にも会わないようにと。 こっそりと、気分転換に外出をして、新しい街並みを散策していた。 今日も天気はいいし。 少し北の方を、散策してみよう。 辺りを見渡し、静かな様子を確認して、アパートの階段を降りた。 えっと、北は向こうだから…。 フッと一瞬、何か色の有るものが見えた気がした。 アパート脇の狭い通路。 壁にもたれながら、薄緑色の作業服の男がタバコを吸いながら立っていたのだ。 まさか、もしかして…。 目が合ってしまった。 私が軽く会釈すると、その男も何だか意味有り気に、笑みを浮かべてこちらをジッと探るように見ていた。
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