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私は、
「こんにちはぁ」
と、軽く階段の下の奥を覗く。
「あぁ、どうも。こんにちはぁ」
と、とろけてしまう程の甘い声で、私に会釈して近寄って来てくれた。
その容姿はお見事と言うくらい、私にとってはパーフェクトガイ。
すらりと背が高く。
細身の体型でモデルのよう。
眉は細くきれいにカットされていて、清潔そうな黒髪の短髪。
鼻筋は真っ直ぐに通っていて、口唇は艶やかで薄くて。
細目のつり目だからか、キツく冷たそうな第一印象。
でも、笑うと目がなくなってしまうくらい可愛らしい。
全体的に色白で、太くて長くて、でもどこか妖艶な首、そしてうなじに男らしさを感じた。
その男も、私を下から上へと、腕組みをして、しばらく至近距離から見つめていた。
その瞳の強さは、とても強力な磁石のようで。
私の心が、一気に奪われて行く感覚がした。
なのに、私の心の中を、それでも探られている感覚がする。
恥ずかしい…こそばゆい…。
私の丸裸の心を、彼は見ているように思えた。
そして、
「新しく引っ越されて来た方ですよね?」
囁くように聞かれた。
「えぇ、はい。あの、ご挨拶、遅くなりまして申し訳ありません。201号室の者です」
私は頭を下げた。
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