第6章

18/21
前へ
/100ページ
次へ
「熱烈だな…続きか?」 衝撃に覚悟して閉じていた目をゆっくりと開ければ、俺を抱き止めた先輩とあと僅かで唇が触れる位置に。 続き?都筑先輩?…欲しい?何を?え?えーっと…続きってなんか色々ギリギリ…アウト? 「けん…っ…けっ怪我はない?!青井っ!!」 「えっ?!」 必死な野々宮の声が背後から聞こえたと同時に引っ張られ、今度は見事に野々宮の腕の中だった。 なっなんなの?え?また何がどうした?どうなった? 「なっ!青井っまた野々宮様に!」 「その前に謝るのが先でしょう!!」 喚く1年に野々宮の怒鳴り声。 …この間とは逆の立場だな。 でも、こうやって人に守ってもらうってちょっとなかったから新鮮だぁ……じゃない! こんな姿やばい! 「野々宮、助けてくれてありがとう。」 「あっそのっ…大丈夫?はい、眼鏡」 冷静になって起き上がり苦笑いでそう返すと、心配そうな表情のまま俺の眼鏡を返してくれた。 「やり方他にあるでしょ?隼人のは極端すぎるんだよ。それに、青井は茶道部が先だしね。」 「茶道には勿体ないだろ!」 空気を変えるためなのか、俺のために警戒も込めたのか能年先輩を引っ張りながら都筑先輩が先を歩き、本気で青くなった1年組は結局謝ることなく慌てて先輩達の後を着いていった。 さっきまで能年先輩怖がってたくせに。野々宮の方が怖いってこと? …というか、都筑先輩。 あなたも抱きつく癖止めて欲しい。同性以前に男の腕力で来られると苦しいです。 「いいなぁ。いつも青井の回りは賑やかだね。さっ僕たちも行こう」 「え?なっ…えっ?!」 何いってんの?!それよりえ? 手!手!野々宮?手を繋いで良いのか?! どうしたら?え?ちょっと??いいの?繋いでて 「最後だし、皆から遅れるよ?」 何事もないように言うけどさ、野々宮?平気なの?大丈夫なの?会長にまた何か言われる?? テンパる俺の手を引っ張る野々宮は、手首どころか首まで真っ赤で…もちろんそれは俺も同じで、先輩達に追い付くまでのわずかな時間、そのまま歩いた。
/100ページ

最初のコメントを投稿しよう!

527人が本棚に入れています
本棚に追加