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「きょーいっちゃん!」
と馴れ馴れしい呼び方でテーブルにホログラムが現れる。
「いいなぁー!美月ちゃんとデートしたいなぁー??」
調子に乗った言葉が続く。
「ちゃんと仕事しろ。」
いつもの事だが冷たく返す。
「私語での通信は控えて下さい。」
こちらも冷たく事務的に返す。
「相変わらず冷たい二人だね~」
「場を和まそうとして頑張ってるのに…」
外国人のようなジェスチャーで両手を上げている。
「余計なお世話だ。だいたい、
家族でカフェに居るだけだろう が!」
毎回、同じ事を別の人にも伝えている。
「そうです、日常の出来事です。」
無表情で話す妹に少しショックを感じる兄…これも日常。
「なんかこう、兄妹っぽくねぇーんだよなぁー昔から…」
彼の名前は花形 慶士
状況は違うと思うが、幼馴染みのような存在だ。
なんか憎めない奴とはこういう人の事を言うんだろう…
「所で、お前の言うデートを邪魔したんだ…信憑性のある情報なんだろうな。」
相手をするのが疲れたので本題にすり替える事にする。
慶士の仕事は現場ではなく、基地から特務隊をサポートする部隊に所属している。
ものすごく簡単に説明すると情報屋のような役割だ。
「俺が、信憑性の無い情報なんか持ってきた事があったっけ?」
自信がある顔をしている。
「4日くらい前だったか、3番街の路地で暴行事件があったんだとさ…ただの酔っ払いのケンカかと思ったんだが妙に気になって調べてみたんだよ。」
カタカタとキーボードを叩く音が響く。
「今、データを送ったが見れるか?」
スティック端末を取り出す。
先端からホログラムが立ち上がる。
「汚い顔だな…」
傷だらけでアザがある男だ。
「なかなかひでぇ顔だろ?そいつはGって言ってな…運び屋だ。」
「よくありそうな話しだな。」
興味なさ気に返事をする。
「慶士さん、麻薬の売買なんて私達は出番ないですよ。」
さすが、出来た妹。
「そんなのわかってるよ!」
「問題はGの運んでたもんよ。」
ウィンクをしながら言った。
「コピーだよ。人工知能の!!」
美月と目を合わせる…
「Gの搬送先は?」
強い口調で話す。
「それが…もうダメなんだな。」
肩を落としながら話す。
「搬送先の病院から失踪した…」
美月とため息をもらす。
「消されたな…」
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