第1章

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その日、彼女は仕事が休みで久しぶりに昔の同僚に会うことになった 直接会うのは10年になろうか?随分懐かしい 先月、ふと思い出したように彼からmailが来たのだった 今、日野の実家に暮らしている 吉祥寺で会おう 二つ返事でオッケーしたものの彼女は違和感を感じた 確か彼は5年ほど前に結婚して、新小岩に暮らして居たような? はて? 何と無く悪い予感はしてたけど、まあ会えばわかる話であろう 自転車で吉祥寺に着いたのは19時ごろ、辺りはけっこう暗くなっていた 案の定、遅刻すると彼からmailが届きブラブラ散歩することにした いつもの事だ、同じ業界だったから痛いほどわかる 自転車を丸井の左脇に駐輪して、まっすぐ公園の方へ歩いて行った 昔からある産婦人科の道を右に曲がり公園へと続く道はと小さい店がひしめいていた この街はどんどん変わって行く そんな事を考えつつ、彼女はコツコツとゆっくり公園の方へと下って行った さて、どうしたものか少し考えて以前行った公園の入り口の気さくなイタリアンで先にヤる事にした いせやの前の……そうそう、ここは確かお肉が美味かった 彼女はまた独り言を呟き歩き始めた 冷たいスパークリングをクッと呑んで、彼女は赤のボトルを開けてもらった しばらくするとエレガントな味になりますよ~ソムリエはさりげなく話しかけてくれるのも嬉しかった そして彼に所在をメールしたのであった ごめんよ、待たせたね~すまない! ぼうしにリュック、iPhoneで音楽を聞きながらいつもの格好で彼は来た デート感はゼロだった そうくると思ったよ もうすぐ四十にもなるだろうけど若々しく長身な細身、変わらない彼に彼女は嬉しく思った 今なんの仕事やってんの? そこから始まって思いで話や四方山話で盛り上がってきた 話もひと段落、彼女はゆっくりと彼に聞いた ねえ、離婚したの? うん、した 彼は躊躇無く素直に答えたので有った。そして苦笑しながら言った、オレこれからずっと独りなのかな そんなことないって!必ずいいパートナーに巡り会えるよ 子供のように彼女は強く否定した どうしてたろう?何故だろう涙がジンワリ滲んできた そうだ昔、私は彼が好きだったんだ お互いカツカツな仕事、同じ時を共有したから だから、だからこそ純粋に彼には色々な部分で旨く行って欲しかった
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