1人が本棚に入れています
本棚に追加
「ごちそうさまでした」
と、手を合わせると、智哉くんも同じく手を合わせ、
「旨かったっす。ごちそうさまでした。」
と、頭を下げた。
昼時で、店も混み合ってたので、早々に店を後にした。
でも、お腹が一杯で、お互いにまだバイクに乗る気にならず、とりあえずまた浜辺と芝生を敷き詰めた広場の間のスロープを歩き始めた。
「そういや、口の傷大丈夫だった?」
「大丈夫っすよ。思ったよりも(笑)」
「思ったよりも?」
「血の味もしなくなってきました。」
と、下唇を下に引っ張るから傷口が見えた。
「あ…傷口はそんなに大きくないみたい。血もあんまり出てないみたいだね」
「デショ?(笑)」
ちょっと得意げに笑った顔が可愛い(笑)
智哉くんは、言葉遣いは相変わらずだけど、どこか行動や仕草が甘えん坊だ。
お兄さんがいるからかなぁ…
あたしが年上だからそう感じるのか…
でも、逆に甘えさせてくれるような優しさもある。
まぁ、初対面に近いから気を使ってくれてるのかもしれないけど、何気にペースを合わせてくれたり、ふと手を貸してくれたり…。
ていうか、あたしやっぱり智哉くんの事、好意的に見てしまってるのかも。
あばたもえくぼってヤツだ(笑)
「なに笑ってるんすか?」
「え?あたし笑ってる?」
「笑ってますよ。自覚なしっすか?」
「なしっすね(笑)楽しいからかなぁ~」
「そうっすか?」
「そうっすよ(笑)」
こんな掛け合いの様なやり取りも楽しい。
足元を見ながら時々顔を合わせつつゆっくり浜辺を並んで歩く。
「一人もいいけど、二人もいいですよね…ツーリング」
「うんうん。ま、今日はまだ一緒に走ってないけどね(笑)」
「あ、そう言えばそうっすね」
「ただのデートだ(笑)」
「デートっすか?(笑)」
「ご飯食べて散歩してってデートでしょ(笑)
あ、でも智哉くんの彼女に悪いね…デートじゃないデス。
偶然会ってラーメン食べて散歩してるだけデス。」
「なんすか?それ(笑)そのまんまじゃないですか(笑)
それに、彼女いませんから。
みすなさんがデートでいいならデートがいいです。」
最初のコメントを投稿しよう!