第2章

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「ごちそうさまでした」 と、手を合わせると、智哉くんも同じく手を合わせ、 「旨かったっす。ごちそうさまでした。」 と、頭を下げた。 昼時で、店も混み合ってたので、早々に店を後にした。 でも、お腹が一杯で、お互いにまだバイクに乗る気にならず、とりあえずまた浜辺と芝生を敷き詰めた広場の間のスロープを歩き始めた。 「そういや、口の傷大丈夫だった?」 「大丈夫っすよ。思ったよりも(笑)」 「思ったよりも?」 「血の味もしなくなってきました。」 と、下唇を下に引っ張るから傷口が見えた。 「あ…傷口はそんなに大きくないみたい。血もあんまり出てないみたいだね」 「デショ?(笑)」 ちょっと得意げに笑った顔が可愛い(笑) 智哉くんは、言葉遣いは相変わらずだけど、どこか行動や仕草が甘えん坊だ。 お兄さんがいるからかなぁ… あたしが年上だからそう感じるのか… でも、逆に甘えさせてくれるような優しさもある。 まぁ、初対面に近いから気を使ってくれてるのかもしれないけど、何気にペースを合わせてくれたり、ふと手を貸してくれたり…。 ていうか、あたしやっぱり智哉くんの事、好意的に見てしまってるのかも。 あばたもえくぼってヤツだ(笑) 「なに笑ってるんすか?」 「え?あたし笑ってる?」 「笑ってますよ。自覚なしっすか?」 「なしっすね(笑)楽しいからかなぁ~」 「そうっすか?」 「そうっすよ(笑)」 こんな掛け合いの様なやり取りも楽しい。 足元を見ながら時々顔を合わせつつゆっくり浜辺を並んで歩く。 「一人もいいけど、二人もいいですよね…ツーリング」 「うんうん。ま、今日はまだ一緒に走ってないけどね(笑)」 「あ、そう言えばそうっすね」 「ただのデートだ(笑)」 「デートっすか?(笑)」 「ご飯食べて散歩してってデートでしょ(笑) あ、でも智哉くんの彼女に悪いね…デートじゃないデス。 偶然会ってラーメン食べて散歩してるだけデス。」 「なんすか?それ(笑)そのまんまじゃないですか(笑) それに、彼女いませんから。 みすなさんがデートでいいならデートがいいです。」
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