第2章

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「彼女いるでしょ?」 「いませんよ?」 なんだか急に悲しくなった。 なんで…男の人って嘘つくんだろ… 智哉くんもアイツと同じ人種? 「いるでしょ?知ってるよ?」 「いませんよ?何を知ってるんですか?」 立ち止まるあたしの顔を首を傾げて伺う智哉くんの目は、笑ってない。 「ごめん。なんでもない。」 問い詰めるような関係でもないし…あたしったら、勝手に好意もって、勝手に幻滅して… 立ち止まった足を再起動させて、少し早目に歩き出す。 「待って。みすなさん」 智哉くんは一拍遅れて歩き出す。 「彼女、ホントにいません。 前にいたことあるけど、今はホントにいないです。」 仮にそれが本当だとしても、前にって…つい最近じゃん… あたしがファストフード店で耳にしたの先週だよ? 「待ってよ。みすなさん。 なに怒ってるの?」 「怒ってません。」 「みすなさん。何を知ってるんですか? ていうか…なんすか?このやり取り。」 さっきまでの優しい声色が一変した気がした。 背を向けてすたすたと歩いてた足が止まる。 もしかして、振り向くと智哉くんの顔が怒ってたりするんだろうかと、怖くなった。 ゆっくり振り向くと、智哉くんはとても機嫌が悪そうだった。 「ごめんなさい…」 「とりあえず、座りませんか?」 智哉くんは、ため息を吐いて、苦笑しながら木陰を指した。
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