第2章

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近づいて見ると、下唇の内側が切れてる様だ。 「みすなさん。オデコ大丈夫ですか?」 言われて、当ててた手を見たけど何も付いてこない。 まだ、多少の痛みはあるけど… 前髪を上げて、オデコ全開にして智哉くんの方を見ると、智哉くんも自然にあたしのオデコを凝視して、そっと撫でた。 「ちょっと赤くなってるから、後から内出血するかも…すみません…距離近すぎて…」 と、ティッシュを真っ赤に染めながら頭を下げた。 「いやいやいや…智哉くんの方がダメージ凄いよ?」 「いや、口の中だから唾液混じって酷く見えるかもだけど大したことないですから」 大したこと無さそうには見えなかったけど、とりあえず座るように勧めた。 智哉くんは、失礼しますと言って、横に並ぶように腰を下ろした。 「先輩とかじゃないから、普通にタメ口でいいよ?」 「あ…、いや、タメ口だと、余計に緊張するんで、気にしないで下さい。」 「そうなの?」 緊張って…(笑) 「結構な人見知りなんで…特に女子は対処法がよく分からなくて」 「対処法って(笑)」 「あ、すみません。みすなさんも女性なのに」 「それ、どういう意味?失礼だなぁ」 と、ちょっと怒ってみせる。ていうか、あたしが女だって認識してなかったってこと? 「いや、みすなさんはなんか…ちょっと違うんですよ」 「違うって?」 智哉くんは、止血のために押さえてるのか、悩んでるから口元を押さえてるのかわからない格好で、うーんと俯き加減で唸った。
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