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「何故だ!僕が何をしたっていうんだ!?」
鷹宗は、暗闇から生っ白い太股をさらけ出した琴未に悲痛の叫びで訴えた。
だが、琴未は口元を歪めて幸せそうな笑みのまま鷹宗に迫る。
本当は逃げ出したいがそうは行かない。
どうにか逃れようにも、琴未によって腕を押さえ付けられていて逃げられない。
所詮は同い年の女の子、華奢な腕で押さえられたところで反抗しようと思えば出来たろう。
だが、鷹宗はそれをしない。
暴れたら琴未に怪我を負わせるかもしれないと言うのもあったが
「もし逃げようとしたら……判るわよね?」
カチャリ。と明石女子校の制服のスカートの下、左太股に巻かれたレッグホルスターから鈍く月光を照り返す黒い金属の塊をちらつかせた。
「私の愛銃、ベレッタM9が火を吹くわよ?」
眼前をゆらゆらとさ迷う銃口。
拳銃を見て鷹宗は追い詰められた悔しさと恐怖に歯噛みする。
この至近距離では万に一つ、回避すら出来ない。
もし撃たれたら……
そう思うとゾッとした。
撃たれることも勿論怖いが、鷹宗にとって一番の恐怖は撃たれた後の事だ。
撃たれたら最後、鷹宗の行き着く先は一つだけ……
地獄。
「いい?あなたは私の幼なじみから……そうね、許婚になって貰おうかしら」
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