第一章 『紅い月 -アカイツキ-』

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「……グガガガガ………シ、ネ……ギギギ…!!」 「!!!」 背後から聞こえる悪霊の怨嗟の声に突き動かされ、私はただがむしゃらに階段を駆け上がって行く。 ――――こんな能力、私はいらない。 ――――視えるだけじゃ、どうにもならない。 話をすることも、成仏させてあげることも出来ないなら、苦しみや悲しみから救ってあげることなんて出来ないのだから…。 ――――ううん。 それどころか、私から大切な人を奪っていくのだから…。
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