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彼女は、何か役目を与えられ、それを実行するロボットを思わせた。そこに彼女の意思はない。
彼女が何を考えているのか――いや、何をするつもりなのかを、いつしか僕は想像するようになった。
彼女はもしかしたら未来から来たサイボーグで、僕たちの知るよしもない戦いを繰り広げているのではないか。彼女の美しい、作られたかのようなその腕は、ビームサーベルへと変形して……いや、それならまだ超能力とかの方が良いか。手をかざすとそこから音波が飛ぶのだ。闇に紛れ、暗躍する。標的を見つけたら音波でビビビ。彼女を操るのは秘密結社で、幼い頃の彼女をかどわかしてサイボーグにした。初めは自我があった彼女も次第に心を失い……なんて。
絵空事を考えてしまっている自分を自虐的に笑った。
そうじゃない、きっと。
ずっと彼女を見ていたら、いつしか僕は……。
その思いを彼女に伝えられるときが来るだろうか。
嬉しい苦さを帯びる、絶対的なこの思いを。
そのとき彼女はどんな言語を放つだろう。考えたくないような、知りたいような。
まずは彼女に話しかけるべきだろうか。
僕は席を立ち、彼女のもとへと向かった。
そして――。
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