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「涙が出る時」
「え?」
「小さい頃、ママが帰ってくるのを1人で待っている時…寂しくてよく涙が出ていたんです。ひとりぼっちで心細くて…泣いたらもっと寂しくなって」
傍にあった布団をふわっと広げて鳴瀬さんを包み込む。
「だからあったかいもので包むんです。冷たいから…少しでもあたたかいもので包み込むんです」
てるてる坊主のように可愛らしく布団に包まれている鳴瀬さん。
私はこのあたたかさにくるまって、ずっと寂しい気持ちをあたためてきたんですよ。
「泣いていいんです。いっぱい…泣いてください」
悲しいを涙でしか表せない鳴瀬さんを包み込んであげたくなったんです。
唇が微かに食いしばって瞼を落としたその瞬間、鳴瀬さんは再び涙を流した。
「僕…、怖いんだ」
包み込んでた私の指先を鳴瀬さんの指が掴んだ。
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