何でもないような

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私は目を疑った。 私の文章の下に、明らかに他人の字があったのだ。確かにさっきはなかったはずだ。 『こんにちは』  一体誰が、いつの間に書いたのか。 瞬間、母を疑ったが、私が1階にいた時間は五分程度。その間私はずっと母と一緒にいた。 それに母は帰ってきてからまだ2階には行ってはいないのだ。 そうなると考えられるのは、この家に誰かが忍び込んでいる、という可能性だ。 背筋が凍った。全身に鳥肌が立つ。あまりの寒さに治りかけた風邪が悪化しそうだ。 私は慌てて母の元に駆けつけた。 「どうしたの」 「お母さん、この家誰かいるかもしれない」
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