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自分の頭がおかしくなった、幻を見ているんだと思った。しかし何度目をこすっても頬をつねっても夢ではなかった。
表現しきれない感動がそこにあった。
『助けてくださいって書いてあったけど、どうしたの?』
ぎくりとした。強烈な恥ずかしさが私を襲う。
誰にも明かすはずのなかった自分の気持ちをこの人は知ってしまった。どう、返事をすればいいのだろう。
迷っていると先に向こうから書いてきた。
『初めての相手だからね。言いたくなければいいよ。ただ、もし俺と仲良くなれたらその時は打ち明けてほしい。交換ノートってことで、これからよろしく……でいいかな? こんな不思議な体験二度とないと思うし、結子さんのことも心配だから』
なんて優しい人なのだろう。私なんかよりも、目指す職が合っているように思えた。
目に見えない初めての相手にさえ親切にする綺麗な心を見習わなくてはいけない。
奇妙な形だけれど、私は人生で初めて交換ノートを始めた。携帯や手紙よりもロマンチックだ。
『ありがとう。私のことは結子でいいよ。これから、よろしくお願いします』
ある日、突飛なことに私の元に救世主がやって来た。
これが彼との出会いであり、始まりだった。
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