何でもないような

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私は何者でもなかった。 ただあるのは学生という名称だけ。 学校を辞めたらどうなるのか。私から名称はなくなり、何でもないただの女の子になるのだろうか。無の人間になるのだろうか。 珍しく風邪をひいた。身体が丈夫だということだけが私の取り柄だった。学校を休むなんて小学校以来だ。というより小学時代の記憶があまりない。 中学からは毎年皆勤賞を目標にしていたのに、なんだかこれまでやってきた努力が水の泡。全部無駄だったように思う。 家には誰もいない。父も母も仕事に出かけた。 私は自室のベッドで横になり、咳とくしゃみを繰り返していた。
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