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第2話
夜更けのオフィス内でいきなり鷲見社長にキスされた僕は、うろたえまくる。
軽く背中に冷や汗をかいた。
岡野「……っん」
鷲見「慣れてないな」
ようやく離してもらえた後、鷲見社長はぺろりとくちびるを舐めた。
岡野「っ!!」
それがやけにセクシーで、カッと顔が火照る。
岡野「な、なにするんですか?」
気付いたときには、手が出ていた。
思いっきり鷲見社長の頬を叩いたぱーんという音が響く。
手のひらが、じんとしびれた。
鷲見「なかなか、効くな。ひょろいのに、やるじゃないか」
岡野「あっ……」
(どうしよう。クライアントを平手打ちするなんて!!)
鷲見「そんなに俺のキスは下手だったか?」
その言葉にもカッとなり、僕は急ぎ足になる。
岡野「失礼します」
そのまま、荷物を抱えてオフィスを出ていった。
扉のところで田村さんとすれちがったけれど、挨拶もなしに飛びだす。
田村「あ、岡野さ……」
岡野「っ!!」
その田村さんと一緒に黒い服のあやしげな男も一緒だったけれど、気に欠けてる心の余裕はなかった。
ただ、やけにネクタイをいい加減にしてることと、頬の傷は目の端に入る。
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