プロローグ

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葛原「俺はデザイナーの葛原。お前、新人の岡野だろ?」 岡野「はい。よろしくお願いします」 ちらっと葛原さんを見る。 裾からわずかにのぞいた靴は、僕では選ばないようなハイカットの靴。 岡野(この人もスーツだ。でも、着崩しているように見えて、オシャレだよな。あのタイって、ラリネッラ?) ラリネッラは通の間でもインパクトのある商品だって評判のブランドだ。 着こなしに感心していると、カツッと小気味いい靴音が響く。 振り返ると、一度出ていった社長が長身の男を連れて戻ってきていた。 鷲見「そう邪険にするなよ。せっかくマンハッタンから戻って直で来たのに」 バックルのあるスクエアトゥの靴を履くその男は、長身の喜多嶋社長よりもさらに背が高い。 長髪をしなやかに流して、野獣のような瞳がぎらりと強い光を宿していた。 きっちりとスーツを着てはいるが、いつそれを蹴り破って本性を現すかと思うようなワイルドさも感じる。 岡野(……この人……いかにも野心家タイプに見えるけど……どこかで見たような……) 喜多嶋「来るなら、仕事を持ってこい」 鷲見「それも、ちゃんと持ってきている」 悠然と受け答えする姿は、喜多嶋社長とだと食うか食われるかの両雄並び立つという様……。
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