第3話

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第3話

夕日が差し込んでおだやかだったオフィスの空気が、一気に緊迫してしまった。 ラクル社内で開発を進めていた、3Dプリンターの新しい技術情報が漏れたというのだ。 喜多嶋「まずいな。今回は物が物なだけに、海外流出もあるぞ」 岸「公安が動くかもしれません。あれで武器を作ろうって言うバカがいるくらいだから」 葛原「問題は、そうじゃないでしょう」 葛原さんの言葉に、ピンと空気が張り詰める。 岸「……誰が漏らしたか……だな」 葛原「そうです。立派な産業スパイだ」 岡野(公安!?産業スパイッ!?) 物々しい言葉のオンパレードに、僕はばくばくと心臓が早鳴りしていた。 岡野(なんか、まずいことになってるってことだよね……) ただ、入ったばかりの僕にはよくわからないというのが正直なところだった。 喜多嶋「とにかく、内部で調べを進めよう」 岸「わかりました。葛原、頼んでいいか?」 葛原「はい」 土師「…………」 みんなの顔が、強張っている。 とにかく、大変な事態になっていることだけは、わかった。
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