第1章 異端ハイスクール

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チャイムが鳴って二限目に入った。 そこそこ多い書類を持った女性担任が遅れて入室して話す。 「は~い、では今からPT授業のグループを決めま~す。」 そう言ってプリントを全員に配る。 「じゃあこの二限目から昼休みまで四人組のグループを組んでね、そしてプリントにグループメンバーを書いて提出すること」 ―PT授業。 それはこの【普通になる科】の独自の教育形態で4人組になって一つの授業を受けるやり方だ。 ……普通じゃない奴が多いから問題を起こして授業がストップする頻度が高いと踏んだのだろう。 それだったら教育者を増やした方が得策と思ったってわけか。 「諸布、良かったら俺とPTを組んでくれないか」 はいはい、もう勝手にしろ。PT組んでドラゴン退治でも連れてってくださいな。 いやこいつの場合は銃で武装した一個師団か。 「でも、4人で一つのグループだぞ。 他に誰かアテがあるのか?」 ―カチャ 「待て待て、お前拉致る気だろ? 銃を突きつけて脅迫する気だろ?」 「大丈夫、これは麻酔だ」 「麻酔も実弾も発砲するなっ!」 「ふむ、ではどうやってPTを組もうか?」 「……待ってろ、先生に相談してくる。」 「流石が一番普通に近い男だ。 そんな方法思いつかなかった」  言ってろ。  俺は机とグループを組んでまとまった人混みをかいくぐり、教卓へ向かう。  ってか、こいつら入学初日で良くグループ組めるな! 意気投合してトークタイムに突入する奴らもいるし! 「先生、グループメンバー集まらないんですがどうすりゃいいですか?」 「あら、ごめんなさい。 先生、ナンパ出来そうな女の子紹介出来ないわ」 こいつグループ作りの趣旨を数分で忘れてやがる。 「でも、強いていうならぁ……」 普通に言って下さい先生。 【普通】を教える先生が強いて言わないでください。 「あそこに座っている白髪の女の子がおすすめかな? あんまり馴染めてないようだし、派手に玉砕してきなさい」 入学初日で馴染める方が異常です。 あと玉砕する必要もないです。 教えてくれたこと【だけ】感謝します。
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