第1章 異端ハイスクール

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俺はその白髪の生徒の所に向かう。 髪は真っ白な白髪、頭にはヘアバンド……と思いきや耳を完璧に覆い被せるタイプのヘッドホンを着けている。机の上にはスケッチブックと油性のマジックペン。 俺が近づくとその生徒はペンを持ちスケッチブックに字を書く。 『派手に玉砕しにきたの?』  ……聞こえてたのかよっ! その女の子は次はお前が書けやって角度で俺にペンを向ける。 えっ? 文通かよ? 『わるいがおれはそんなことをしにきたのではない』 早書きは得意じゃないので漢字無しの殴り書きだ。 『じゃあ何? 私を襲いに来たの?』 な ん で そ う な る ? ここ法治国家じゃないの? 憲法も漢方もない世界なの? 『たんとうちょくにゅうにいう。いっしょにグループをくまないか?』  あれだ。 もうさっさと内容だけ伝えよう。 いらない誤解を受ける前に内容だけ伝えよう。 『襲わないなら入る』 残念だったな、お前は一秒後には俺のグループだ。自分でいうのもアレだが一番無害だからよ! 『おそわないって! おれ、クラスでいちばんふつうだし』 書いてて泣きたくなってきた。 要するに個性無しってことだ。 彼女は悩んだような顔をして長考したあとペンを走らせて。 『よろしくねっ!(顔文字略』 と書く。顔は笑顔だ、とても可愛い。 この子文字と表情だけの会話が凄くうまい。 『名前教えてよ』 俺も真似して伝わりやすいように丁寧に漢字も使って尋ねる。 『私は幸崎 志那(こうざき しな)っていうの あなたは?』  文面が女の子の丸文字みたいになった。 なんか彼女の気分が一気に明るくなった気がする。 『俺は諸布 柘敬(もろふ つうや)』 きっちりふりがなも書く。 ただでさえ読みにくい名前だと自分も自覚しているからな。 『諸布くんだね、よろしくね!』
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