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なんだかそわそわして落ち着かないまま、そろそろお昼の時間を迎えようとしていた。
相変わらず、オフィス内の空気は重い。
土師「岡野」
岡野「はいっ」
いきなり声をかけられて、びくっとなる。
土師「お前、今日も鷲見社長との打ち合わせに行く気か?」
岡野「え、ええ。仕事ですから……」
(そうだ。今日も午後からは、予定が入ってるんだけど……)
土師「それ、止めておいた方がいいんじゃないか?な、葛原だって、そう思うだろ?」
葛原「俺には関係ない」
いきなり、話をふられた葛原さんは、気のない返事だ。
土師「けど、倫理的にどうなのかな?疑われている人と仕事ってさ」
岡野(そんな……じゃあ、もう鷲見社長と仕事ができなくなるってこと?それは、嫌だ)
ハッキリした拒否の気持ちに自分も驚く。
喜多嶋「土師」
社長室から出てきた喜多嶋社長が、鋭い声を飛ばす。
岡野「しゃ、社長!!」
さすがの土師さんも、緊張したように背筋を伸ばした。
岸「お前が決めることじゃない」
一緒に社長室から出てきた岸さんが、たしなめるように言う。
それに、喜多嶋社長も頷いた。
土師「すみません。でも、心配で……」
岸「よけいなことだ。そんなことより、昨日頼んだ仕事はできてるのか?」
土師「いえ、あと少しです」
岸「じゃあ、噂話をするよりも、仕上げるのを先にしろ。お前の、もうすぐは3日かかる」
土師「すぐにっ」
土師さんがぴゅっとデスクに戻って、身を低くする。
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