第5話

6/8
前へ
/36ページ
次へ
いろんな想いを抱えながらラクルのオフィスを出て、鷲見社長のところにやってくる。 そこで、僕は新しい提案を、一生懸命にした。 岡野「……というわけで、新しくイベントに組み込んでみました」 鷲見「なるほど。早速、橋の夜景をヒントにしたわけだ」 岡野「はい……。まだ、思いつき段階ですけど、ここから広げていけたら……」 鷲見「そうだな。悪くない」 岡野「っ!」 ほめられれば、胸が弾む。 鷲見「が、まだ詰めが甘いな」 岡野「そ、そうですね。僕も、その点は悩んでいて……」 鷲見「社内で意見を求めてないのか?」 岡野「あ……」 (そうだよね。自分ひとりじゃなくて、会社で受けているんだから、社内の意見も聞いた方が……でも、この状況だと……) 僕が押し黙ると、鷲見社長がフッとニヒルな笑みをこぼした。 彫りの深い顔立ちには、事情を忘れて、今日も見とれそうだ。 鷲見「聞ける状況じゃないってわけだ。ここに来ることも止められたんじゃないのか?」 岡野「いえ、それは、喜多嶋社長が大丈夫だって……」 鷲見「……そうか……」 岡野(え!今、ほっとしたように見えたような……それとも、僕が、そうであってほしいって思ってるから、そう見えるのかな?) 胸がドキドキする。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

73人が本棚に入れています
本棚に追加