第6話

2/9
73人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
鷲見「こんなに怪しい男なのにな、物好きなやつだな」 岡野「それを言うなら、鷲見社長だって、疑われていた僕をかばってくれました」 鷲見「まあな。ヒロが、そんなことをするやつじゃないのは、一番そばで仕事してる、俺ならわかる」 岡野「僕もです。だから、おあいこなんです」 鷲見「おあいこ?ふっ、ヒロらしい言い方だ。確かに、そうだな」 ネクタイから手を離されて、ぽんっと頭を撫でられた。 岡野(てのひらが……熱い……) 今まで以上に触れられることに敏感になってる気がする。 鷲見「ヒロ」 岡野「はい」 鷲見「これからも、何があっても、俺を信じろ」 岡野「っ!!」 しばらく、じっと鷲見社長の瞳を見て、様子を伺う。 鷲見「信じられないか?」 岡野「隠していることがあるんじゃないんですか?」 鷲見「っ」 そういうと、一度まばたきをされた。 鷲見「……そうだな。全部、話してるわけじゃない……」 岡野(それは、正直に言ってくれるんだ……ということは、これって隠し事があっても、正直って言うんじゃ……) 鷲見「この状況で、信じろって言っても無駄か……」 落胆した声の響きに首を振る。 岡野「いいえ。隠し事があるってことを隠さなかったから、いいです。信じます」 鷲見「ヒロ」 驚いたように目を見開かれた。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!