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岸「正確には、外に持ち出されたのが鷲見社長との打ち合わせに行く岡野からの可能性が高いというだけだ。まだ決まったわけじゃない」
岡野「でも、僕は、本当にそんなことしてません。それに、正式な提案はまだですし……」
必死に訴えると、葛原さんも頷く。
葛原「お前にその気がなくても、あの鷲見社長なら、情報を抜くことができるだろ?」
岡野「そんなことは……ないと思いますけど……」
(確かに、謎めいたところはあるけど、喜多嶋社長の友達なんだし……悪い人には見えないよ……)
土師「お前、鷲見社長をかばうのか?やっぱり、お前が自主的に情報を流したんじゃないのか?」
岡野「違います。そんなことしてません。思いつきもしません」
葛原「わかってる。俺も、お前がそんなことできる根性があるなんて、思っていない。が、うっかりはありえるな」
葛原さんが、フォローともつかないようなことを言った。
岡野(そんなぁ……)
葛原「それよりも、鷲見社長だ」
岸「なにか、あるのか?」
葛原「俺、あの人がガラの悪い黒服の男たちと、ひそひそ話してるのを見たことがある。人相が悪くて、頬に大きな傷があるやつもいた。とてもかたぎの人間には、見えなかった」
岡野「っ!!」
(頬に傷に黒い服……そう言えば、僕も、それ見た……それほど、深く考えなかったけど……)
岸「まだ、非社会的団体と関係があると決まったわけじゃない」
土師「けど、あの人って、卒業後に行方不明だった期間があるんでしょ?そのときに、なにをしてたやら」
岡野「それは、自衛隊に入ってたって言ってました」
岸「おかしいな」
岡野「え?」
岸「そんな話は喜多嶋社長からも聞いたことがない。岡野、うまくだまされたんじゃないのか?」
岡野「……っ!!」
(だますって……そんな……)
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