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第5話
夜景の見える高台で、僕は鷲見社長の頭を胸に抱え込むようにして抱きしめていた。
岡野(わ、僕、なんで、鷲見社長を!?)
「す、すみませんっ」
あわてて、腕を離そうとする。
鷲見「なぜ、外す?」
岡野「えっ」
(どうして、腕を取られて……)
離れようとする僕の手首を、しっかりとつかむ長身の鷲見社長。
視線と視線がぶつかりあった。
鷲見「お前、俺をなぐさめようとしてくれたんだな。こんな細い腕で」
岡野「……おこがましいですよね。すみません」
鷲見「いいや、嬉しかった。ちょっと感激ものだったな」
岡野(え!もしかして、はにかんでくれてるの?え?)
そんな顔を見せられて、こっちは、どぎまぎしてくる。
岡野「照れますっ!」
頬が染まってるのが自分でもわかって、下を向いた。
鷲見「ちゃんと、顔を見せろよ。照れてる顔も、見たい」
顎を取られて、顔をあげられる。
まともに視線が絡んで、とっさにふりほどいて、横を向いた。
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