第1章

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その子は青色のりぼんをしていました 色素の薄い、髪の毛に白と青と薄い赤の服を着て。 私の夢の中で遊ぶのです そして最後にこう言うのです 「愛してくれてありがとう!」 私は目が覚めるとなぜかこころが苦しいのです それでも私は立派な大人、それも二十五 甘えてはなりません。それでも心配なときだけ ずっと通っている心療内科へ行きます 私は先生に「また、あの夢を見ました」と告げる 先生は「どうだった?」と聞き返します そうですね、彼女はとくに害などありませんし… 私は帰る途中に本屋に寄り 好きな作家さんの本がないかどうか調べます 今日は残念ながらありませんでした 残念、残念。と思いながら帰路につきます そういえば、あの子の夢を見るのは あれをしてからだ。 私は仕事、人間関係が苦痛で仕方がないとき その頂点に居たとき、 指や親指の付け根をそっとカッターナイフで切ったのです 血は少ししかでないけど初めてのことで 一瞬喜んだ自分や驚いた自分がいました そしてハッとするとトイレに行き吐きました その日の夢で、あの小さい女の子がいました 夢では夕暮れの窓辺にブラシやヘアピンを用意している女の子 の後ろに座り、髪を結わえているのです 彼女は歌いながら楽しそうに聞くのです 『毎日楽しい?』 あんまり楽しくないよ… 『指は大丈夫?』 少し痛いの 『大人って大変なんだね』 そうなの。あなたもガンバってね 『ありがとう。髪の毛綺麗になった?』 え ああ、あと少しだから動かないでね 『ねえ、目を背けないでね』 ?どういうこと 『愛してくれてありがとう!』 そこで終わります たまにですけど会話も変わります とても可愛らしい女の子でした その日から私は病院に通いました 切ったのは「自傷行為」でした 私の場合は過度のストレスが原因らしいです それからも彼女は夢に出ては髪を結わえて 話をします。 他愛もない話です それからかなり経ち私は二十九歳です 結婚もして、子供もいます。 男の子です、やんちゃな それ以来あの子はもう来ません。 私は少し寂しい思いで 今これを書いています。
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