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岡野(この人、警察の人だったんだ……)
田村「というわけです。岡野さんがいない方が警備がやりやすいようので……」
岡野「いやです」
田村「と言われましても、あなたは社長にとって家族でもなんでもありませんので……」
岡野「それは……」
(そうなんだけど……どうしても、離れたくないっ!!)
「鷲見社長のそばから離れたくありません。お願いです、看病させてください!」
僕は田村さんに頼みこんだ。
田村「し、しかし、場合が場合ですので。それに、鷲見社長の意見が聞けない今は……っ!」
田村さんが言葉の途中で、目を大きく見開いて沈黙してしまう。
その視線が僕の後ろに注がれていることに、一拍遅れて気付いた。
田村「鷲見社長!目を覚まされたのですね!よかった……」
鷲見「田村、ヒロを追いだすことは許さない」
岡野「あっ……」
田村「わかりました」
さっと背筋を伸ばして、田村さんがお辞儀をする。
鷲見「ヒロ」
僕は呼びかけに応えて、ゆっくりと振り向いた。
さっきまで眠っていたはずの男が、ベッドの上で上体を起こしている。
岡野「鷲見社長……!」
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