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土師さんは僕を地下街へと連れてきた。
まだ朝早い時間なので、人通りはほとんどない。
岡野(ここって、今日パーティがあるホテルの近くだよね)
「証拠って、いったい……」
土師「来ればわかる。というか、お前に確かめてもらって警察に届けようと思ってさ」
岡野「僕に?」
と言った刹那、僕はどんっと背中を突き飛ばされた。
岡野「うわっ!!」
路地に連れ込まれたと思った途端、掃除用具を入れるような倉庫に閉じ込められた。
状況がつかめずに混乱した僕はまたたく間に縛りあげられ、猿ぐつわをかまされ、声も出せなくなる。
抵抗をこころみても、全然相手が堪えた様子はない。
土師さんだけじゃなくて、もうひとり誰かがいる。
岡野「うー、ううーっ!!」
転がされたまま、床をのたうつだけ……。
その間に扉を、ぴっちりと閉められる。
土師「まんまと罠にはまったな。お前をえさに鷲見社長を脅してやるよ。引き換えに情報を引き出してやる」
扉の向こうで土師さんが意地悪な声で語りかけた。
土師「見張りがいるから、逃げ出せないぞ」
岡野(さっきのもうひとりが見張りなんだ。……どうしよう!鷲見社長が僕のためにつかまったりしたら……)
「うーっ!うー!!」
声を出そうにも、ほとんどくぐもった音にしかならない。
これじゃあ、とても助けは来てくれないだろう。
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