第10話

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あっという間に飛行機に乗せられた僕は、まだ自分の置かれた状況が信じられず、座席に座って呆然としている。 岡野「まさか、結婚式って、海外ですか?」 鷲見「もちろん。それで、俺たちは完璧だ。誰にも邪魔されない」 強引な言い方にも慣れたけれど、ちょっと吐息が落ちた。 鷲見「あきれてるのか?」 岡野「大丈夫ですよ。そういう人だって知ってて、好きになりましたから」 鷲見「ヒロ」 慶さんが僕の腕を引いて、膝の上に乗せる。 そして耳朶をくすぐるような言葉ーー。 鷲見「早くお前を独占したくて、俺は急ぎすぎたか?」 珍しく伺うように聞かれ、僕は肌を震わせて目を見開いた。 鷲見「俺はヒロさえ手に入れば、なにを捨ててもいい覚悟だ」 岡野「っ!」 鷲見「が、お前にとっては、なにもかも突然のことだろう?式をあげて、籍を入れれば、戻れない。世間からの目を考えれば、ヒロにとっては辛いことになるかもしれない。それでも、お前が欲しかった。俺のわがままだ」 岡野「嬉しいですよ。わがままを突き通してくれて」 そう言って僕は、慶さんの頭を胸に抱き締める。 鷲見「やっぱり、こうされるのが一番落ちつくな」 心からの吐息に、僕も胸をいっぱいに満たされていったーー。 おごそかな結婚式はふたりだけのロマンチックなもの……。 そして、誓いのキスの後、僕は慶さんに抱きあげられた。image=483227627.jpg
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