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鷲見社長が必死に僕を抱き寄せるのと同時に、銃声が響き渡る。
岡野「っ!!」
衝撃が鷲見社長の体を伝わって感じられた。
ここまでコンマ数秒。
岡野(そんな……鷲見社長が……撃たれた!?)
鷲見「大丈夫だ。急所は外れてる。背中をかすめただけだ」
岡野「でも、血がっ」
鷲見「それよりも、銃撃犯を」
喜多嶋「今、田村が押さえこんだところだ」
喜多嶋社長の言葉に、鷲見社長がほっとした顔をする。
鷲見「油断したが……ヒロが無事でよかった」
岡野「とにかく手当を」
鷲見「それじゃあ、シャツを裂いて、止血をしてくれ」
岡野「わかりました」
鷲見「それで縛るまでは、傷口は圧迫法で塞いでくれ」
岡野「圧迫法って……」
(たぶん、自衛隊時代に覚えたんだ……でも、僕はわからない……)
鷲見「落ち着け。手のひらで傷口を押さえるんだ」
岡野「はい」
僕は片手で傷口を押さえながら、もう一方の手で脱いだ自分のシャツを力いっぱい裂く。
それで、鷲見社長の傷口をきつく縛った。
鷲見「よし、後は救急車を待てばいい……」
岡野「はい」
(あ……)
瞬間、ふらっと視界がゆがんだ。
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