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第9話
目が覚めると、ベッドに寝かしつけられていた。
白い部屋、白いカーテン、ほのかな消毒液の香り……どうやらここは病室らしい。
岡野「ここは……そうだ、鷲見社長っ!!」
あわてて起き上ると、そばに喜多嶋社長が難しい顔で立っている。
喜多嶋「目が覚めたか……よかった。脳波に異常はないそうだ。このまま帰ってもいいということだったが、どうする?」
岡野「鷲見社長は、どうなってるんですか?」
喜多嶋「あいつは、お前の無事を確かめた後、倒れた」
岡野「ひっ」
悲鳴をあげそうになり、喉が鳴った。
喜多嶋「あわてるな。手術は無事終わって、今は安静にして寝ている」
岡野「そばに行けますか?」
喜多嶋「本来なら、面会謝絶だが……」
岡野「お願いします。どうしても、そばに行きたいんです。助けてもらったお礼も言えてない……」
僕は喜多嶋社長の胸にすがるようにして懇願する。
喜多嶋「わかった」
岡野「じゃあ」
喜多嶋「どうにか、取り計らってやる。だから」
喜多嶋さんが僕の肩に手を、がしっと置いた。
喜多嶋「あいつを呼び戻せ。このまま、意識が戻らないなんてことにならないようにな」
岡野「っ!!」
そのとき初めて、事態が想像以上に悪いと悟る。
岡野(鷲見社長……っ)
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