120人が本棚に入れています
本棚に追加
/37ページ
第10話
一か月の入院の後、慶さんは退院して自分の部屋に戻ってきた。
そして戻ってくるなり、さっそく用事があると言ってひとりで外出してしまう。
岡野(大けがしたんだから、もう少しゆっくりすればいいのに)
国会議事堂のイベントは、残りのメンバーで何とか成功させることができた。
岡野(それも、ベッドから次々に慶さんが指示を出してくれたおかげなんだよね)
あの辣腕ぶりを思うと、頭がさがる。
岡野(あんな無理して、お医者様は、まだ入院するべきだって言ったのに、僕とふたりっきりになりたいからって、早目に退院しちゃったんだから……)
あんまり強引すぎて、田村さんがおろおろしてたのを思い出す。
岡野「僕が世話をするって言うのも、田村さんからは最初、反対されたんだけど……」
(強硬に主張する慶さんに、田村さんも従うしかなかった……僕は嬉しかったけど……)
鷲見「なにを、ごちゃごちゃ言ってるんだ」
岡野「っ」
いきなり背後から抱き締められて、僕は肩を揺らした。
鷲見「ヒロ」
体をまわされて、向かい合わせになったかと思うと、細い身をぎゅっと抱きしめられる。
最初のコメントを投稿しよう!