第10話

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第10話

一か月の入院の後、慶さんは退院して自分の部屋に戻ってきた。 そして戻ってくるなり、さっそく用事があると言ってひとりで外出してしまう。 岡野(大けがしたんだから、もう少しゆっくりすればいいのに) 国会議事堂のイベントは、残りのメンバーで何とか成功させることができた。 岡野(それも、ベッドから次々に慶さんが指示を出してくれたおかげなんだよね) あの辣腕ぶりを思うと、頭がさがる。 岡野(あんな無理して、お医者様は、まだ入院するべきだって言ったのに、僕とふたりっきりになりたいからって、早目に退院しちゃったんだから……) あんまり強引すぎて、田村さんがおろおろしてたのを思い出す。 岡野「僕が世話をするって言うのも、田村さんからは最初、反対されたんだけど……」 (強硬に主張する慶さんに、田村さんも従うしかなかった……僕は嬉しかったけど……) 鷲見「なにを、ごちゃごちゃ言ってるんだ」 岡野「っ」 いきなり背後から抱き締められて、僕は肩を揺らした。 鷲見「ヒロ」 体をまわされて、向かい合わせになったかと思うと、細い身をぎゅっと抱きしめられる。
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