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「あなたの説明を聞けば聞く程わからなくなるのですが」
健一は眉間に皺を寄せ、少し顔を険しくしてそう聞いた。
「わかりました。信じて頂けるかどうか分かりませんが…」
倉田はそう言うとテーブルの上のお茶を飲んだ。
「この薬は、古代中国のモノです。世の中に出回るにはあまりにも危険な薬ですので、この時代まで密かに使用されてきました」
「…」
健一は更に眉間に皺を寄せて倉田を見た。
倉田はその健一から目を逸らす事も無く続ける。
「この薬は古来より『萬能丹』と呼ばれています。その名の通りどんな病気でも治してしまう薬なのです。過去にも様々な病気を一粒で治した実績が多数あります」
倉田は再びテーブルに湯飲みを置いた。
「しかし、この薬を使用するにあたり一つ問題があるのです」
「問題…ですか…」
「はい。この薬を飲むと一粒で病気が治る。これも事実です。しかしその代償ですが…」
「副作用ですか」
「副作用とは少し違うかもしれませんが」
倉田の両手は大きく動いていた。
それだけ熱く語っているのだろう。
「飲むと数時間で病気は完治します。しかし、その間その患者の患部に激痛が走るのです。その痛みに耐え切れず絶命してしまう者もいたと言います」
倉田はお茶を一気に飲み干した。
「激痛に耐えれば病気は治り、生きる事が出来るという事ですね」
健一はとテーブルの上にある紙包みを見た。
「そうです。その痛みは病気の種類や度合いにより違うと言われています」
倉田は身振り手振りで健一に説明した。
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