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二人は咸陽までの道を歩きながら、話をしていた。
その老人は呂赫といった。
呂赫は、近くの山で薬草を採り、その薬草で薬を作っているらしい。
その薬を咸陽の祭の薬商に古くから納めていると言う。
「それで祭承様をご存知なのですね…」
魏粛は呂赫の歩幅に合わせて歩いている。
「儂が知っておるのは祭承の父、祭傳じゃ。祭傳とは長く付き合っていた。五年前に奴が死ぬまでな。今は祭傳の跡を継いだ、祭伯に薬を納めておる」
呂赫はそう言うと立ち止まった。
「儂は祭傳の店は、祭承に継いで欲しかったのだが…」
呂赫は笑っていた。
「江南の地で、咸陽の祭家に負けない薬商をやっておられます」
魏粛はそう言うと、微笑んだ。
「その桑折、私が持ちましょう」
呂赫が背負う桑折を魏粛は半ば強引に剥ぎ取り背負った。
「すまんの…。歳を取ると色々とガタがくるモノだ。儂も萬能丹を飲んでみるかの…」
呂赫は声を出して笑い、再び歩き出した。
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