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張良と蕭何、曹参は秦の書物庫で、秦が作った法の資料を見ていた。
「すごい。よくここまで作り上げたものだ」
蕭何は木簡を一枚一枚見て、そう呟いた。
「流石は秦ですな…。いずれ、この木簡が必要になる時が来ます。いざという時に運び出せるようにしておきましょう」
張良はそう言って木簡を木の箱に詰め始めた。
「これをすべてですか…。運び出すには車が必要になりますな…。手配しておきます」
曹参はそう言って書物庫から出て行った。
「蕭何殿はどう思われますか。この木簡…。項羽の軍が目を付けると思われますか」
張良は蕭何を見た。
「目を付ける人物がいるとすれば、范増殿ただ一人。しかし、今の范増殿では、そこまで気も回りますまい」
蕭何は静かにそう言う。
「私も同意見ですね…」
張良はそう言うとまた、木簡を箱に詰めた。
「明日の鴻門…。沛公は大丈夫ですかね…」
蕭何は心配そうに張良を見た。
「わかりません。今は沛公にすべてを託すしかございません。ただ、考えられる手はすべて打ってあります」
張良は微笑んだ。
「多分、私は同席出来るはずですので、いざという時は私の命に代えてでも、沛公をお守り致します」
「それを聞いて安心しました」
蕭何も笑った。
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