第四章 項羽と劉邦

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「子嬰を誅殺する事など、いつでも出来る事です。私はまず、大将軍が到着するまでの咸陽の治安維持を第一に考え、子嬰を許しました。しかしこれも…、大将軍が咸陽に到着されるまでの、とりあえずの処置であります」 劉邦の声は震えていた。 声ばかりではない。 全身を震わせ、頭を下げて弁明したのだ。 「儂が一番許せぬのは、この三つ目だ。何故儂の命を待たずに咸陽に三法を敷いたのだ」 劉邦は頭を下げたまま、項羽の声にその存在の大きさを感じていた。 少しでも項羽の逆鱗に触れると、その場で斬り殺されるという不安に押し潰されそうになりながら…。 「はい。それも大将軍の入城を待つまでの、とりあえずの処置、咸陽の民を動揺させないためのモノです。あくまで楚軍とは大将軍の率いる本隊の事。その本隊が咸陽に入城してこその咸陽陥落にございますので…」 劉邦のその言葉に、幕舎の中は静まり返った。
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