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「項王の従兄弟。項荘でござる。今より、楚国の繁栄のために、そして憎き秦を討った祝いとして剣舞を舞わせて頂きます」
項荘は幕舎の入口に立ち、大声で挨拶をした。
「おお、項荘。そなたの剣舞は天下逸品じゃからの。是非頼む」
項羽は手を叩いて喜んだ。
その剣舞は素晴らしく、その場にいたすべての者たちが、項荘の剣捌きに見とれていた。
項荘はどんどん項羽と劉邦の席へ近づき、劉邦の鼻先に剣を振り下ろした。
劉邦は生きた心地がしなかった。
しかし、項荘は再び劉邦の前から離れ、幕舎の中央で再び舞い始める。
張良は、その項荘と腕を組んで剣舞を見ている范増をじっと見つめていた。
確実に劉邦を狙っている。
張良は項荘の剣先を目で追った。
再び、項荘は劉邦の前に立ち、剣を振り下ろそうとした時、その項荘の剣を、張良の剣が受け止めた。
剣と剣が触れ合う音が響き、火花が散った。
その剣を受け止めていなければ、劉邦の頭はその剣に砕かれていただろう。
「おのれ…」
項荘は張良にだけ聞こえる程の小さな声で、そう言う。
張良はその剣で、項荘を弾き飛ばした。
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