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その樊かいの大きな声に驚き、項荘も剣を止める。
その剣を張良は空かさず、自分の剣ではじき飛ばした。
「何奴じゃ」
「下がれ下郎」
席に座っていた武将たちは剣を抜き、その樊かいに口々に言った。
「うるさい。俺はお前らみたいなカスには用は無い」
そう言って、樊かいは無人の野のごとく幕舎の中を項羽の前まで歩いて行った。
項荘は床に落ちた剣を拾い、樊かいに斬りかかった。
樊かいはその項荘を素手で、振り払う様に押しのけた。
項荘は見事に弾き飛ばされ、范増の卓にぶつかり料理の皿が床に散らばる。
樊かいは勢いよく項羽の前に平伏した。
「項王に申し上げます」
項羽はその一部始終を、盃を持ったまま黙って見ていた。
盃に並々と注がれた酒を微塵も揺らす事も無く…。
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