第四章 項羽と劉邦

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「止まれ。止まれ」 魏粛は覇上の陣で、劉邦の兵に止められた。 「そなたは何者じゃ」 槍と松明を向けられ、魏粛は一瞬たじろいだ。 「はい。旅の薬商で魏粛と申します。貴軍の武将、曹無傷殿をお連れ致しました」 そう言うと魏粛は馬を下り、頭を下げた 「何。曹無傷だと…」 一人の兵が松明を持って、馬に乗せられた曹無傷の顔を照らした。 「間違いない。曹無傷だ。劉将軍にお知らせしろ…」 そう言うともう一人の兵が陣の奥へ走った。 「ご苦労だった。我々も曹無傷を探していたのだ…」 そう言うと、二人がかりで気を失ったままの曹無傷を、馬から下ろした。
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